【働き方別】CRAの業務内容

CRA（臨床開発モニター）は、治験の進行やデータの正確性をモニタリングする役割を担います。その働き方には、製薬企業に正社員として所属する方法や、CROや派遣会社を通じて複数のプロジェクトに携わる方法などがあり、ポジションによって業務内容やキャリアの方向性が異なります。

ここでは、CRAの働き方の違いが業務内容やキャリアにどう影響するのかを詳しく解説します。

正社員は安定さ、
派遣は柔軟さがメリット

製薬企業の正社員CRAとしての働き方

正社員として製薬企業に所属するCRAは、社内の治験プロジェクトに深く関与し、特定の疾患領域や開発段階についての専門知識を蓄積できます。この働き方は、製薬企業内でのキャリアパスやマネジメント職への昇進を視野に入れた長期的なキャリア形成に適しています。収入や福利厚生が安定しており、昇進の機会もあるため、長期にわたって腰を据えてキャリアを築いていきたい人に向いています。

社内で他部門への異動のチャンスもあるため、医薬品開発に関する幅広い業務を経験し、いずれはマネジメント職を目指すことも可能です。

派遣型CRAとしての働き方

一方、派遣型CRAには「柔軟さ」という大きなメリットがあります。複数の製薬企業の治験プロジェクトに参加することで、幅広い疾患領域などに携わる経験を積むことができます。また、短期間で多様なスキルを習得し、即戦力として活躍できる環境に適しています。短期間で幅広いスキルを身につけやすく、異なる疾患領域に対応できる力が養われるでしょう。

ライフスタイルに合わせた働き方もでき、ワークライフバランスを取りやすいので、仕事とプライベートを両立させたい人や、柔軟なキャリア形成を考えている人にはおすすめです。

また、派遣型CRAの働き方は、将来的な転職やキャリアチェンジにも有利な面があります。特に複数の製薬企業での実務経験を通じて得た知識やスキルは他社でも通用しやすく、派遣終了後の選択肢も広がります。

その経験を活かして、正社員としてさらにキャリアアップしていく道もあるため、派遣型CRAはキャリア形成の「柔軟さ」と「自由度」を兼ね備えた働き方だといえるでしょう。

働き方の違いが
キャリアに与える影響

働き方によるキャリア形成の違い

CRAは働き方によってキャリアの進め方に違いが生まれます。たとえば、正社員としての働き方は一貫性のあるキャリア形成につながり、社内での昇進や異動を通じて業務を深く学び、企業の一員として責任ある立場で成長していけます。

長期的に同じ企業で勤務していけば、医薬品開発における全体の流れを理解し、同時に専門分野での経験を積み重ねることができるでしょう。

派遣型CRAのキャリアへの影響

派遣型CRAのキャリア形成は、柔軟性と多様性が重視されます。プロジェクトごとに新しい治療領域や治験フェーズに関わることで、各プロジェクトで求められるスキルを短期間で効率よく習得できます。また、派遣先企業ごとに異なる治験運営方法や国際基準を経験することで、次のキャリアで役立つ多角的な視点を養うことができます。

特に治験業務は疾患やプロトコルが異なることで求められる知識や対応力が異なるため、さまざまな領域に触れることで臨機応変な対応力が身につき、次のキャリアに活かすことができます。

派遣先企業によっては、国際基準に基づいた治験管理や国内規制に沿った業務が求められる場合もあるため、グローバルな基準を学ぶ機会が増えるのも大きなメリットです。

外資系・内資系の選択が
キャリアに与える影響

CRAが所属する企業が外資系か内資系か、その違いもキャリアの進展に影響を与えます。

外資系CROのCRAはICH-GCPなどの国際基準に基づく治験プロジェクトに携わることが多く、英語力や異文化理解が重要です。また、グローバルな視点から業務を進め、将来的に海外でのキャリアを目指す道も開けるため、国際的なキャリア志向が強い人に向いています。

一方、内資系企業は日本市場に特化したプロジェクトが中心となるため、国内の製薬業界で長期的かつ安定的に働きたい人に向いています。近年ではワークライフバランスの重視や福利厚生の充実を図る内資系企業も多く、生活とキャリアのバランスを大切にしながら働ける点も魅力です。

CRA、CRO、CRCの違いと
積める経験

CRAとCRCの違い

CRAとCRCはいずれも治験に関わる職種ですが、その役割には明確な違いがあります。

CRAは製薬企業やCROに所属し、治験施設で収集されるデータが正確であるかをモニタリングし、治験がプロトコルや規制に従って進行していることを確認する役割を担います。治験が計画通りに進行しているか、データの品質が保たれているかを厳しく監視することで、臨床試験全体の信頼性を高めるのがCRAの役割といえます。

一方、CRCは治験実施施設において被験者への説明や同意取得、治験スケジュールの管理などを行います。被験者が治験の内容を理解し、安心して治験に参加できるようサポートすることで、プロジェクトが円滑に進むよう現場の調整役としての役割を担っています。また、医療スタッフと連携して被験者が安全に治験を受けられる環境を整え、治験データの信頼性を支える重要な存在でもあります。

CRAとCROの違い

CROは受託型の治験機関を指します。CRO所属のCRAは複数の製薬企業から治験業務を受託し、多様な治験プロジェクトを担当することが一般的です。

このため、さまざまな疾患領域や治験フェーズに対応するスキルが磨かれ、業界のトレンドに触れる機会も多くなります。そこでは柔軟な対応力やプロジェクト管理能力が重要とされ、効率的にスキルを高めることができる環境です。

CRAとしての『働き方』の違い

お伝えしてきたとおり、CRAの働き方には正社員や派遣、外資系や内資系など、さまざまな選択肢があります。自身のキャリア志向に合った働き方を選ぶためにも、それぞれの働き方の特徴と違いをしっかりと理解することが重要です。

開発業務受託機関（CRO）と
製薬企業CRAの違い

受託型CRA（CRO）と製薬企業CRAの働き方は、それぞれ業務スタイルやキャリアパスに違いがあり、成長スピードやスキルの幅も異なります。CROの柔軟な対応力を求められる環境と、製薬企業の一貫した業務体制を比較し、自身に適したキャリアを見つけましょう。

外資系／内資系CROの違い

外資系企業では国際的な基準に基づいた業務が多く、グローバルな視点でキャリアを形成したい人に向いています。一方、内資系は日本市場に特化しているため、国内での安定したキャリアパスを重視する人に向いています。

医療機器開発モニター（MD-CRA）
とCRAの違い

医療機器と医薬品では、求められる専門知識や治験モニタリングのプロセスが異なり、MD-CRAはISO規格に基づいて医療機器の操作性や安全性を評価します。

CRAとCRCの働き方の違い

CRAは治験データの管理や進行をモニタリングする役割があり、CRC（治験コーディネーター）は被験者対応や治験の進行管理が業務の中心です。データ管理やモニタリングを重視するか、被験者支援や現場での調整役を重視するか、自身の適性や興味に合わせて検討しましょう。